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塾長ブログ vol.55【黒猫ロイの物語④「辛酸」】

2022年01月17日更新

2015/7/9(木)午後
ロイは、ICUでガンバっています。
この日は、造影検査を行うことになりました。
ロイの腹水の正体が尿であることが分かり、腎臓以下のどこかのルートに損傷があって、お腹の中に尿が漏れて溜まっていっている可能性が高いためです。

このままだと、お腹の中に溜った尿を毎日注射器で抜かなければなりません。
しかし、問題はそれでは解決しません。内臓が尿に晒されることによって、炎症を起こしてしまうからです。
特にデリケートな腹膜は、すでに炎症(腹膜炎)を起こしているものと思われ、造影検査の結果によってはかなり困難な治療に挑戦しなければならないとのことでした。
ドクターのお話によると、ロイほど重傷なコを診ることはほとんどないそうです。
事故に遭って即死するか、そのまま治療を受けずに死に至るケースがほとんどだそうで...。
出会ったばかりのノラネコに惜しみなくお金と手間を掛けて助けようとする人なんて、極めて珍しいとのことでした。

ですが、変人上等です!
(以前、「自分ルール」についてご紹介しましたが、その中の一つ「困っている者を絶対に見捨てない」というのを遂行しているだけなので、私からすれば、当然の判断、当然の行動でしかありません。)


2015/7/10(金)

前日の造影検査の結果、尿道(膀胱から陰茎までのルート)が断裂していることが判明したため、この日の夜、ロイは手術を受けることになりました。執刀は医院長H先生とN先生です。
左側の尿管(腎臓から膀胱までのルート)も損傷している可能性があるとのことで、場合によっては左側の腎臓を摘出することになると説明を受けました。
今回の手術の最大のポイントは、尿道カテーテルを通して断裂している尿道を縫い合わせることができるかどうかです。これが最も理想的な手術のゴールです。

しかし、子ネコの尿道は非常に細いため、カテーテルが通るかどうか、そして縫合可能かどうか、開腹してやってみないと分かりません。
もしできなかった場合、命をつなぐ方法は他にもあるものの、一生不自由な生活を送ることになることと、生命の危険に次々に見舞われる可能性があることを加味して、安楽死が選択肢に入ってきてしまいます。それだけは避けたいところです...。

そして、もう一つの心配は、ロイの体力が全身麻酔および今回の一連の術式に耐えられるかどうかです。
今回は、手術以外に命を救う方法が無いという判断で実施することになりましたが、そもそもこんな小さなコに全身麻酔をかけること自体、相応のリスクが伴います。
心配は尽きませんが、滋賀県屈指のドクター方にお任せして、成功を祈ることにしました。
手術は21時頃から始めて、日をまたぐことになるとのこと。大手術です。
ロイ⑥.jpg

結局、ロイの手術は5時間に及びました。
残念ながら、目指していた理想的な手術(断裂した尿道の修復)は、できませんでした。
生命を維持するための第二の手段として、お腹に穴を開けて尿道をその穴に接続する方法が取られました。
正直、何が正しいのか随分考えました。
何せ、この方法なら命をつなぐことはできるものの、ロイは一生不自由な生活を強いられることになるからです。

オムツは外せませんし、傷口(尿道の接続部分)を舐めないようにするために「エリザベスカーラー」と呼ばれる保護器具を装着するか、体に密着する保護服を着せて、絶対に傷口を舐めさせないようにしなければなりません。一生です。
もしも傷口を舐めてしまうと、そこから雑菌が入り込んで膀胱炎を起こしてしまうリスクが高いのです。何せ尿道は、本来体の中にあるものですから...。

無理矢理でも生かせてあげた方が良いのか、そこにネコとしての幸せはあるのか。
一生不自由な生活をするくらいなら、このまま逝かせてあげた方がよかったのか...。
私の性格上、明確な答えを持たないまま行動することなんて滅多に無いのですが、こればかりは考えても正解が分かりません。ただただ、可哀想にと思うのです。

ともあれ、滋賀県屈指の名医H先生とN先生の腕前のお陰でロイはひとまず生命の危機を1つ乗り越えました。
しかしながら、まだ顕在化していない問題もきっとあるので、現段階では「命が助かった」とまでは言えません。辛酸を舐めるような思いを抱えつつ、ロイの回復をただ願いました。


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